PROFINET:産業用ネットワークにおける安全な通信規格
PROFINETは、PROFIBUSをさらに発展させたものであり、産業用イーサネットをベースとした新しく便利なアプリケーション向けにこのフィールドバス規格を拡張するものです。PROFINETはどのように機能するのでしょうか?このプロトコルを工場やプロセスオートメーションに使用すべき理由はなんでしょうか?また、PROFIBUSとPROFINETの違いとはなんでしょうか?

PROFINETには次のようなメリットがあります。
- プロキシまたはゲートウェイを介して確立されたフィールドバスシステムのシンプルかつシームレスな統合
- 高い稼動信頼性および可用性
- 透明性の高いデータアクセシビリティ
- 詳細かつ信頼できる診断オプション
PROFINETの基礎知識
PROFINETにより、ファクトリーオートメーション・プロセスオートメーション・ビルディングオートメーションの分野で、自動化ソリューションの実装が可能です。さらに、安全アプリケーション向けソリューションやクロック同期モーション制御などの駆動技術全般にも使用されています。
オープンな産業用イーサネット規格
PROFINET(Process Field Network)は、産業用イーサネットに基づく通信規格であり、幅広いアプリケーションを備えています。フィールドバスはTCP/IPおよびIT標準を使用し、リアルタイム対応であるとともにフィールドバスシステムの統合を可能にします。PROFINETは、Siemens社とPROFIBUSユーザー協会(PNO)のメンバー企業によって開発されたもので、Siemens社の制御システムと組み合わせて使用されています。PROFINETは、IEC 61158およびIEC 61784規格によって標準化されており、ユニバーサルコミュニケーションテクノロジーとして、オートメーション技術のあらゆる要件をカバーしています。
PROFINET製品の世界的な互換性は、ユーザー協会PNOによる認証を通じて保証されています。
PROFINETがあなたのシステムの自動化に最適な理由
PROFINETは、そのユニバーサルなイーサネットベースの通信により、さまざまな要件に対応します。データ集約的なパラメータ化から超高速なI/Oデータ伝送まで、PROFINETはひとつのシステムでリアルタイムの自動化とIT統合を実現します。そのモジュラー構造により、ユーザーは個別に適切なPROFINETパッケージ(アプリケーションプロファイル)を選択し、システムに実装することが可能です。
さらにPROFINETのオープンアーキテクチャは、プロキシやゲートウェイを使用することで、確立されたフィールドバスソリューションを簡単かつシームレスに統合できます。また、PROFINETはフィールドデバイスとネットワークのためのインテリジェントな診断コンセプトを提供します。非周期的な診断データは、PROFINETデバイスのステータスおよび通信に関する重要な情報を提供し、ユーザーフレンドリーなネットワークのプレゼンテーションを可能にします。
PROFINETの機能範囲
自動化システムのさまざまな要件を満たすために、PROFINETでは4つの連続した適合クラス(CC)が定義されています。それぞれのクラスは、一般的なアプリケーション領域に合わせて調整された一連の機能を備えています。これらは、アプリケーション向けの最低限のプロパティをまとめたものです。
- CC-Aは基本的な機能を含んでおり、たとえばビルディングオートメーションで使用するために設計されています
- CC-Bはネットワーク診断とトポロジー情報に関する機能範囲を拡張し、CC-B(PA)は冗長性や「動的再構成」(動作中のコントローラー構成の変更)など、プロセスの自動化に関連する機能を追加します
- CC-CはIRT通信(Isochronous Real Time)を実装するための拡張機能であり、クロック同期アプリケーションの基礎となります
- CC-DはクラスCを拡張するものですが、このサービスはIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)によって定義されたTSN(Time Sensitive Networking)のメカニズムで提供されるという違いがあります
プロトコルの構造
PROFINETは、よく知られている7階層のOSIモデルをシンプルな4階層のTCP/IPモデルに縮小しています。したがって、PROFINETは他のイーサネットベースの通信技術と同様に、TCP/IPプロトコルを使用してデータを転送します。TCP/IPモデルの具体的な4つの階層は以下の通りです。ネットワーク層、インターネット層、トランスポート層、アプリケーション層。

タイプ8792 - デジタル電動空圧式ポジショナー:ポジショナー SideControl。タイプ8792について詳しく見る。
タイプ8098 - FLOWave SAWフローメータFLOWave・タイプ8098について詳しく見る。
PROFINETは産業用イーサネットをベースにした通信規格で、幅広いアプリケーションに対応しています。TCP/IPおよびIT標準を使用し、リアルタイム対応であるとともにフィールドバスシステムの統合を可能にします。
タイプ8692 - プロセスコントロールバルブへの一体型取付けのためのデジタル電動空圧式位置コントローラ タイプ8692について詳しく見る。
PROFINETのデータ伝送およびトポロジー
データ交換とリアルタイム機能
PROFINETは、ネットワークパティシパント間のデータ交換のために、プロバイダとコンシューマの原則をサポートしています。これは、コントローラおよびフィールドデバイス(IOデバイス)が、障害または要求により必要が生じた場合、すぐにサイクリックデータを自動送信するということです。また、データはxミリ秒ごとに自動送信されるといったようなプログラムされた要求の可能性もあります。
リアルタイムで高い要件を満たすために、PROFINETは標準通信とリアルタイム通信の両方を並行して実行可能な対応メカニズムを提供しています。このためにPROFINETとの通信は、3つの連続するパフォーマンスレベルにわたってスケーリングが可能となっています
- エンジニアリングデータおよびタイムクリティカルでないデータはTCP/IP経由で送信されます。この標準通信は、すべてのオートメーションデバイス間で可能です。
- プロセスデータの送信にはリアルタイムチャンネルであるReal-Time(RT)を利用できます。
- モーションコントロールなどのクロック同期アプリケーションでは、アイソクロナスリアルタイム通信(IRT)が採用され、1ミリ秒未満のクロックレートで1μs以下のジッター精度を実現します。
ネットワークトポロジー
PROFINETは、空間的な拡張性および可用性に関する要件を最適に満たすために、柔軟なネットワークトポロジーを提供します。これによりシステム条件に簡単に適合させることができます。その際にサポートされるものは以下の通りです。
- 主に端末機器とフィールド内に統合されたスイッチを接続するライン型
- 主に制御キャビネットに取り付けられている中央スイッチを備えたスター型
- 主に媒体冗長性を実装するためのリング型
- 上記のトポロジーを混合したツリー型
接続技術
PROFINETデバイスは、スイッチを介してのみ接続されます。費用対効果の高いシンプルな設置を可能にするために、多くのPROFINETデバイスには、ネットワークのコンポーネントとして2つ以上のポートを備えたスイッチが搭載されています。伝送媒体として、銅線または光ファイバーが利用できます。
PROFINETはイーサネットと同じ物理インターフェースを使用しているので、標準的なイーサネットスイッチと適切なケーブル配線でネットワークの構築・拡張が可能です。
PROFINET IOシステムの構築
PROFINET IO(インプット/アウトプット)ネットワークは3つのシステムコンポーネント(デバイスクラス)によって構成されています。情報の交換を開始し、内臓プログラマブルコントローラ(PLC)経由で情報を管理するIOコントローラがあります。これは、IOコントローラ(分散型IOデバイス)およびIOスーパーバイザ(プログラミングデバイス[PG]、パーソナルコンピュータ[PC]、またはヒューマンマシンインターフェース[HMI])に割り当てられたIOデバイスで、PROFINET IOネットワークの設定と診断を可能にします。
PROFINET:PROFIBUSのさらなる進化
PROFIBUSは、シリアル通信をベースにしたフィールドバスシステムとして確立されています。一方、PROFINETはPROFIBUSをさらに進化させたもので、産業用イーサネットをベースにしたアプリケーションが含まれています。
PROFINETの開発は、ネットワークパティシパントの数、産業用イーサネットケーブルの利用、伝送速度、データパケットのサイズに加えて、PROFINETが受け入れることができる他のプロトコルとの共存の可能性によって決められました。
この両方の通信規格は、同じ組織によって開発および保守が行われているので、工学的な概念およびモジュールとサブモジュールを含むPROFINETデバイスの特性と機能を説明するGSDファイル(General Station Description)の使用には類似性があります。
ビュルケルトの強み
私たちは産業界の信頼できるパートナーとして、長年にわたり高品質の技術ソリューションを提供しています。これはオートメーション技術分野でも同様です。デジタル通信は、最新のオートメーションコンセプトに欠かせない部分となっています。このような理由から、PROFINET IOプロトコルを備えた当社の各製品は社内の専門家によるテストと事前認証が行われた上で、PNOによって認証が行われています。中央的なPROFINET IO製品認証により、グローバルな互換性が保証されているのです。また、ビュルケルトは長年にわたってPNOのメンバー企業です
PROFINET IOは、当社の多くのアプリケーションおよび製品に含まれており、お客様の製造システムの自動化に最高のサポートを提供することが可能です。
PROFINETを使用したアプリケーション例
PROFINET IOを備えたビュルケルト製品は、主にプロセスオートメーションにおける媒質(気体、液体)の制御と調整のために使用されていますが、次のような分野でも使用されることが増えてきています。
- 燃料ガスの供給
- 食品製造、飲料、乳製品の加工設備
- 水処理/廃水処理の自動化および制御
PROFINET対応製品
ELEMENT電空ポジショナ
- 初期調整(ゼロスパン調)はワンタッチ&高いメンテナンス性により現場の負担を軽減
- ポジショナ内部は常にクリーンな計装エアが循環し外環境からの湿気や塵をシャットオフ
- Type2300アングルシート、Type2301グローブ、Type2103ダイヤフラムの各種コントロールバルブに搭載可能
- ATEX、IECEx防爆に加え、日本の防爆も取得済み(安全防爆構造)
ELEMENT電空プロセスコントローラ
- 初期調整(ゼロスパン調)はワンタッチ&高いメンテナンス性により現場の負担を軽減
- ポジショナ内部は常にクリーンな計装エアが循環し外環境からの湿気や塵をシャットオフ
- Type2300アングルシート、Type2301グローブ、Type2103ダイヤフラムの各種コントロールバルブに搭載可能
- P'Q lin機能により、アングルシート、グローブに加えダイヤフラムバルブでもスムーズな流量制御を実現
- ATEX、IECEx防爆に加え、日本の防爆も取得済み(安全防爆構造)
デジタル型電子空圧式位置コントローラ:位置コントローラSideControl
- コンパクトで頑丈な設計
- 調整機能により運転が容易
- バルブを監視するための内蔵診断機能(オプション)
- 補正状態で空気消費のない動的位置決めシステム
- プロフィバスDPV1またはDeviceNet(オプション)
デジタル方式電子空圧式プロセスコントローラーSideControl
- コンパクトで頑丈な設計
- 位置コントローラおよびプロセスコントローラの調整機能による運転
- バルブを監視するための内蔵診断機能(オプション)
- 補正状態で空気消費のない動的位置決めシステム
- プロフィバスDPV1またはDeviceNet(オプション)
FLOWave: SAW式流量センサ
- 純水・超純水等の導電率が低いもしくはゼロの流体も高精度で測定可能
- 洗浄性が極めて高いため、厳格なサニタリー環境に最適
- 駆動部がなく、軽量(従来のコリオリ式の1/10)&設置が容易
- 視認性に優れたディスプレイ付き
- SAWの伝達率を応用することで泡・気泡検知、液種判別にも応用可能
マスフローコントローラ(MFC)/ マスフローメータ(MFM)
- 高速応答、高速安定(最短500ms)のハイレスポンス
- 高レンジアビリティの比例電磁弁を採用することで、幅広い流量、幅広い差圧を1台で制御可能 (従来は2台のMFCを使用していた場合も、1台で効率的に制御可能に)
- 内蔵している比例電磁弁はタイトシャット可能
- 実ガス校正により高精度と幅広い制御範囲を実現 (一部エアで置換校正しております)
- Type8745の流量制御範囲は0.4L/minから1500L/min(normal、空気)となります(比例電動弁では最大2500L/min(空気)まで)
AirLINE - プロセスオートメーションのために最適化されたバルブマニフォールド
- コンパクト設計
- 液晶ディスプレイで簡単に診断
- 空圧機能によるプロセス安全性
- キャビネットの下部に搭載するために最適化されています
AirLINE SP - 電磁空気式オートメーションシステム
- I/O-システム・SIMATIC ET 200SPおよびET 200SP HAへの直接連結
- Siemensプロセス制御システムPCS 7への完全統合可能
- フィールドバス、パイロットバルブおよびI/Oモジュールとの組合せ
- 液晶ディスプレイで簡単に診断
- バルブの安全指向遮断可