閉じた配管システムにおけるウォーターハンマー:その原因と影響および解決策について
水撃現象や圧力衝撃とも呼ばれるウォーターハンマーは、産業用の配管システムにおける深刻な問題となっています。これは配管内の液体が急停止し、圧力ピークが生じた場合に発生する現象です。その結果、バルブや配管、その他のコンポーネントに深刻な損傷が生じることも少なくありません。高額な修理が必要になるだけでなく、ダウンタイムや生産損失の原因にもなります。適切なバルブの選択とシステム調整を通じて、ウォーターハンマーを防止する方法をご覧ください。

ウォーターハンマーは閉じた配管システムで発生する可能性があり、さまざまな用途に影響を及ぼします。これは家庭用の水道設備から大規模な生産施設まで起こりうる現象です。
ウォーターハンマーとはなんですか?
ウォーターハンマーとは、流量速度の急激な変化によりパイプライン内の圧力が急激に上昇することです。この現象は、閉じた配管システム内で動いている液体が急停止したり、方向を変えたりしたときに発生します。この圧力衝撃はシステム全体に及び、最初に倍加されるため、コンポーネントにとって許容されなくなる限界範囲の圧力上昇につながります。さらに流量速度は何倍にも増加し、悪条件下では最大 1,200 m/s に達することがあります。
ウォーターハンマーは水だけでなく、他の非圧縮性液体(圧力をかけても密度が大きく変化しない液体)や気体でも発生します。圧力衝撃は、多くの場合、圧力が解放される前に繰り返される振動やノック音を伴います。そのため、ウォーターハンマーと呼ばれることがあります。
圧力衝撃ははっきりと聞こえますが、ミリ秒範囲という非常に短い時間で圧力が上昇し、また収まるため、その測定は困難です。電子式の測定装置はそのような測定に適していないことが多く、圧力衝撃が測定範囲を超えてしまうこともあります。
ウォーターハンマーが発生する原因
この原因としては、バルブの急激な開閉、ポンプの急激な起動・停止、背圧バルブの急な閉鎖、突然の停電などが挙げられます。また、水柱分離や圧力バッファもその発生を促します。
しかし、設備の工法もウォーターハンマーの発生に影響しています。高低差が大きい設備では、高低差を克服するために高い圧力が必要となるため、リスクは特に高くなります。
また、均一な流れを中断するシステム設計もリスクの増加をもたらします。したがって、屈曲や強い圧力変動はできるだけ避けるべきです。
ウォーターハンマーの直接的な影響について
ウォーターハンマーは次のような重大な損傷を引き起こす可能性があります。
- コンポーネントの漏れ。
- バルブシートの変形や破損。
- 逆止弁ディスクの変形。
- ポンプシャフトの破損や湾曲。
- Oリングやシーリングの早期の摩耗。
- ホイールの破損。
- 配管の漏れや破損。
配管システムに起こりうる長期的影響について
ウォーターハンマーは、個々の装置やコンポーネントに損傷を与えるだけでなく、システム全体の耐用年数にも悪影響を及ぼすことがよくあります。また、ウォーターハンマーの強さによって危険性も高くなっていきます。多くの場合、配管に漏れが発生し、システムは長期間にわたって効率的に機能しなくなり、媒体や製品が失われることになります。
ウォーターハンマーを回避するには
計画段階で正しいバルブを選択する
はじめからウォーターハンマーのリスクを最小限に抑えるようにシステムを計画するのが理想的です。その際、適切なバルブの選択が決定的な役割を果たします。計画段階において、ウォーターハンマーが発生するのを未然に防ぐために、ユーザーは適切な機能を備えた高品質のバルブを選択すべきです。空圧式または電気制御のバルブは、適切な仕様のものをラインナップしています。また、手動のバルブも使用可能です。ここでは、バルブが満たすべき要件の概要を簡単に説明します。
開閉時間の調整機能を備えた空圧操作のプロセスバルブ
空圧操作のプロセスバルブには、アングルシートバルブ(別称:Y型バルブ)、またはグローブバルブ(別称:ストレートバルブ)があります。バルブが液体のフロー方向に逆らって閉じるように構成されていることが重要です。これにより、閉鎖機能が媒体の慣性と一致し、圧力衝撃を自然な形で回避できます。この方法により、スプリングリターンバルブと複動バルブの両方を構成できます。
電動バルブ
また、電動バルブや、アングルシートバルブまたはストレートシートバルブとして適切なハウジングのバリエーションを備えた空圧操作のプロセスバルブも利用可能です。ビュルケルトのモーターバルブは、次の特性を備えており、ウォーターハンマーの問題にプラスの効果をもたらします。
- 非反応性で媒体圧力に依存しない剛性アクチュエータトレイン。したがって、媒体内の圧力変動や圧力衝撃はバルブ位置に伝わりません。たとえば、コンパクトなバルブ(Type 3280/3281/3285)を推奨します。
- 空気圧で作動するプロセスバルブと比較して、バルブの特殊な機械設計はスプリングベアリングを必要とせず、高レベルの耐衝撃性と耐振動性が得られます。
- ビュルケルトのモーターバルブの動作速度は、ソフトウェア機能を通じて正確に調整できます。そのため、バルブを意図的にゆっくりと開閉させることができ、システム内の圧力を不必要に上昇させることなく、関連する影響を最小限に抑えることができます。
EVA 電動コントロールバルブ(ダイヤフラムバルブ)
- 4 mm/sの高速駆動(従来の電動弁の約8から9倍のスピード)
- バッテリー内蔵機種もラインナップ。無電力状態での緊急遮断(緊急解放)が可能
- ハイジェニック環境にも最適な洗浄性に優れた外形
- IoT世代対応機種により、機器の情報や状態を記録可能
- Type3323はダイヤフラムバルブ(遮断弁)となります。
ダイヤフラムバルブ
特に医薬品およびバイオテクノロジー生産の分野では、空圧式または電動モーター制御のダイヤフラムバルブも使用できます。シートバルブとは対照的に、このタイプのバルブは流れの方向に関係なく使用できますが、シートバルブと同じ基準(流量計数、最大圧力など)が適用されます。ダイヤフラムバルブの場合、ウォーターハンマーは(ウェブだけでなく)外部への短期的な漏れを引き起こす可能性があり、注意が必要です。これは、ウォーターハンマー現象の一瞬の間にのみ明らかになります。ダイアフラムに損傷がなければ、バルブは通常の動作を続けることが可能です。
ELEMENTダイヤフラムバルブ (On/Offバルブ、コントロールバルブの両機種ラインナップ、空圧駆動)
- 初期調整はワンタッチ&高いメンテナンス性により現場の負担を軽減
- 軽量&コンパクトで配管にかかる負担を軽減し現場作業者の安全にも配慮
- 電空プロセスコントローラType8693と組合せれば、スムーズな流量制御をダイヤフラムバルブで実現
- ATEX、IECEx防爆に加え、日本の防爆も取得済み(安全防爆構造)
既存システムの最適化オプション
既存のシステムの場合、ウォーターハンマーのリスク低減のためのさまざまなアプローチがあります。このようなシステム全体のカスタマイズについては、プロセス全体を十分に理解しているプロセスエンジニアによってのみ検討される必要があります。
考えられる対策は次のとおりです。
- 個々のバルブを、開閉時間が調整できるバルブに取り替える。
- バルブを通過する液体の流量を減らすための絞り弁を設置し、配管に段階をつけることで、バルブがよりゆっくり閉まるようにする。
- 空気圧アクチュエータによる空気圧供給または排気を絞ることにより、空圧式プロセスバルブを閉じる速度を遅くする。
- 開閉時間を設定した電動アクチュエータを使用する。
- システム内の速度変化を制限する。
- 適切な制御部を含む複動式アクチュエータを使用する。
まとめ
ウォーターハンマーは配管システムにおける深刻な問題です。システム機器や配管を損傷する可能性があります。経験豊富な専門家によるバルブの正しい選択、バルブを閉じる速度の調整、絞り弁や逆流防止弁の設置、その他のシステム調整を通して、ウォーターハンマーはほとんどの場合防ぐことができます。
ウォーターハンマーでお困りですか?もしくはそれを回避する必要がありますか?
ビュルケルトの流体工学の専門家が、計画段階でお客様にアドバイスし、適切なコンポーネントを選択するお手伝いをさせていただきます。